福井鉄道の元名鉄車 モ880形・モ770形の急行運転

名古屋鉄道の600V区間廃止の後、福井鉄道に譲渡されたモ880形・モ770形・モ800形。

モ800形2両は豊橋鉄道へ再譲渡されたものの、モ880形5編成とモ770形4編成は現在も福井鉄道福武線の主力車両として活躍しています。

 

福井鉄道は、国内の路面電車で唯一急行運転を行っている鉄道事業者です。

この急行運転には、LRVのF1000形“FUKURAM”・相互乗り入れを行うえちぜん鉄道のL形“ki-bo”だけではなく、福武線内では元名鉄車のモ880形・モ770形も使用されています。春季・秋季の臨時急行や突発代走では元シュトゥットガルト市電・とさでん交通のF10形735”レトラム”が使用されることもあります(超レアケース)。

宇都宮ライトレールが将来的に急行運転を行うことが発表されていますが、これはLRVによるものであり、LRV以外での急行運転は今後も福井鉄道のみで見られる光景であり続けるものと思われます。

 

 

名鉄600V区間全廃後の両形式の経歴

 

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三十八社駅で離合するモ770形772-773(左)とモ880形882-883(右)


モ770形は、揖斐線での急行運転に対応するため高速走行が可能な性能を有していましたが、モ880形は専ら美濃町・田神線用であったため、福井鉄道移籍の際に高速走行に対応する改造工事を受けています。

2016年3月に開始されたえちぜん鉄道三国芦原線との相互直通運転(フェニックス田原町ライン)では、モ770形772-773のみがえちぜん鉄道仕様の無線装置を設置されたうえで予備車とされたものの、2017年度にF1003・F1004が直通運転に対応したことでお役御免。この無線装置は取り外され、現在は福武線内のみで使用されています。

 

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えちぜん鉄道用の無線装置を装備していたモ773

 



運用

現在の福武線は、昼間時間帯は30分間隔の普通列車と、1時間間隔の直通急行のパターンダイヤです。直通急行は3運用で、F1000形が2運用、えちぜん鉄道L形が1運用を受け持っています。

この3運用に関してはLRVの固定運用です。

 

要するに、元名鉄車は日中時間帯には急行運用に入りません(入れません)

 

また、朝のラッシュ時間帯に設定される下り急行列車2本・上り急行列車1本に関しても、F1000形の固定運用となっていますが、線内で完結する運用のため、F1000形が検査などで運用を外れる際には元名鉄車が運用入りします。

↑越前武生7:05発・田原町8:00発が急行(休日・年末年始運休)

↑越前武生7:21発が急行

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朝ラッシュ時間帯の上り急行列車

 

家路につく学生が増える夕ラッシュ時間帯には、14~17時台(上り列車は15~18時代)には毎時1本ずつ急行列車が増便されます。

基本的には元名鉄車2編成が越前武生から田原町まで2往復を急行運転します。

途中の三十八社駅では、急行通過駅でありながらこれら2編成が離合します。まず上り急行列車が入線し、運転停車。下り急行列車が一線スルー構造の下り線を高速で通過した後、上り急行列車が出発します。

現在、元名鉄車による急行列車どうしの離合が見られるのは三十八社での1日3回のみです。

前武生駅に留置されている車両がこの運用に入ることが多いものの、稀に北府からの送り込みを見ることもできます。

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北府からの送り込み回送

 

区間急行

 福井鉄道では、路面電車としては珍しく、区間急行という列車種別が設定されています。福井駅始発で、神明まで急行運転を行い、終点の越前武生まで各駅に停車します。

基本的にモ770形が使用されているようですが、稀にモ880形も運用入りしています。

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福井駅を出発する区間急行列車(モ880形)

 

 

 

福井鉄道の運用について、公式TwitterでLRVの運用が公開されているため、それ以外の列車はすべてモ880形かモ770形であると容易に判断することができます。

お目当ての列車がお目当ての運用に入らなければ、予定を変更してえちぜん鉄道北陸本線越美北線に行ってみたり、観光地に行ったりしてもいいですね。

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