2025年の春、広島電鉄が高架線で広島駅へ乗り入れることになっており、報道された際には「路面電車が高架線を走る!!」と話題になりました。
路面電車タイプの車両が高架線を走る光景は現在も筑豊電気鉄道で見ることができます。営業列車ではなく、高架線路の走行距離も短距離ではありますが、福井にも高架線を走る路面電車車両が存在することはご存知でしょうか。
今回はえちぜん鉄道L形”ki-bo(キーボ)”についての記事です。
L形”ki-bo”は、2016年3月開始のえちぜん鉄道三国芦原線・福井鉄道福武線の相互乗り入れ(フェニックス田原町ライン開業)に向けて2編成が製造されました。
3連接車体の福井鉄道F1000形”FUKURAM”とは異なり2連接車体です。乗り入れ先の車両と輸送力が異なる珍しいケースと言えるでしょう。
デザイン
車体色は黄色で、愛くるしい表情をしています。
愛称の”ki-bo”は車体色の「黄色」や「希望」、「子供のかわいらしさ」から取られているとのこと。福井鉄道F1000形の愛称”FUKURAM”と合わせて「希望膨らむ」と読める、粋なネーミングです。
車内に目を向けてみても、黄色い座席が目立ちます。えちぜん鉄道のマークがあしらわれた鉄道線車両のシートとは異なるデザインです。
運用
L形”ki-bo”の運用は、福井口車庫から出庫して鷲塚針原へ回送された後、鷲塚針原〜福武線越前武生を直通急行として3往復して、鷲塚針原から福井口車庫へ回送されるというものです。
この1運用を2編成で担当しています。
福井口車庫から三国芦原線へは、福井口3番線で折り返します。福井口周辺は高架化されているため、このタイミングで高架線を走行します。
福井口〜田原町は営業運転を行わない区間であるため、LRV用の低床ホームが設置されていません。
田原町駅も、営業運転で使用する2番線ではなく、低床ホームの無い3番線を使用します。
鷲塚針原では行き止まり式の低床ホームに到着。3往復の急行運転を行います。
三国芦原線内では、臨時駅の仁愛グランド前、九頭竜川のそばにある中角を通過。これら2駅には低床ホームは設置されていません。
田原町駅では上下列車ともに2番線を使用します。
福井鉄道福武線内では他の急行列車と同様、併用軌道区間は各駅に停車し、専用軌道区間では主要駅のみに停車する急行運転を行います。
福井城址大名町〜福井駅の通称”ヒゲ線”区間には入線しません。
夕方になると福武線は急行列車が増便されますが、2車体連接車体構造による輸送力不足は否めず、福井城址大名町では度々積み残しが発生する様子も見られます。
3往復の運用を終えて鷲塚針原に到着すると、福井口車庫に入庫します。
日没後に高速走行するLRVはなかなかかっこいいです。
高架線からやって来たLRVが専用軌道から併用軌道を越えて再び専用軌道へ。
富山ライトレール(現・富山地方鉄道富山港線)が”トラムトレイン”ならフェニックス田原町ラインはトレイントラムトレイン?
走行区間がかなり個性的なL形”ki-bo”。見た目もかわいらしいので、ぜひぜひ出庫から入庫まで追いかけてみてください。
余談
先ほど”見た目もかわいらしい”なんて言いましたが、日没後に後ろから見てみてください。
子どもが見たら泣くぞこれ……