橋梁の上で列車番号が変わる臨時列車

鉄道各社で様々な付番方法がある列車番号。旅客への案内上は1本の列車のように案内されていても、途中で列車番号が変わっていることもあったりしてなかなか理解するのが難しいアレです。

大抵の場合、列車番号は駅や信号場で変わるものです。しかし、駅でも信号場でもなく、橋梁の上で列車番号が変わる臨時列車が毎年運行されていました。今回はそんな列車のお話。

 

 

 

北陸で「521」といえば現在進行系の泥沼・521系電車を想像される方が多いことと思いますが、福井には同じ521を名乗る現役の電気機関車が存在します。

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えちぜん鉄道ML521形電気機関車は、京福時代の1949年にテキ521形としてテキ521・テキ522が日立製作所で製造されました。そのままえちぜん鉄道に承継され、ML521形のML521・ML522に改番されました。その際にATS車上子が取り付けられて単行運転が不可能になりました。

現在は2両で専ら除雪に使用されています。

 

出番が無いに越したことは無い除雪車

なかなかスポットが当たらないML521にスポットライトを当てるイベントが、2019年まで毎年春に開催されていました。

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「桜とラッセルを撮ろう!」と題したこの企画は、沿線でも有数の桜の名所である永平寺川橋梁にML521を留め置いて撮影会を行うというものです。

永平寺川橋梁は志比堺駅永平寺口駅の間、永平寺口駅寄りにあります。

 

日中30分ヘッドで普通列車が運行されている勝山永平寺線永平寺口駅は上下列車の離合駅ですから、30分おきにやってくる列車の合間にかなりの余裕があり、営業線上に車両を留め置いて撮影会が行えるという訳です。

 

永平寺口駅から永平寺川橋梁へ出てきて、そのまま永平寺口駅へ折り返すため、永平寺川橋梁の上で列車番号が変わります。


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スタフを見てもバッチリ「永平寺川橋梁」と書かれています。

 

 

という訳で1日に3回も橋梁の上で列車番号が変わる臨時列車のお話でした。

永平寺口駅での待機中にはML521の車内への立ち入りが可能だったり、除雪用MCRの車内にも入れたりして、なかなか楽しいイベントでした。

 

降雪時の出動は始発前が多く、日中に動くのは2018年や2021年のような災害級の豪雪時か試運転のときぐらい。勝山の方だと日中に走ることもあるらしいけれど…
あまり表に出てこないML521を間近に観察できる機会だったので、ここ2年開催されていないのはなんだか寂しい…

アフターコロナにはこのイベントを再開してほしいと願うばかりです。